M&A経験の転職市場における価値と、武器にできる領域
M&A(Mergers and Acquisitions、企業の合併・買収)は、海外市場を含めた新分野への進出、商圏・市場シェアの拡大、コア事業の強化、事業展開のスピード化などを短期間に推進する、現代の経営戦略に欠かせない手法の1つとなっています。また、中堅~中小企業が事業再構築や事業承継のための手法として用いるケースも少なくありません。 このように、一言でM&Aといっても目的や規模によってさまざまなものがあります。では金融プロフェッショナルにとってのM&A経験は、転職市場でどのような評価を受けることができるものなのでしょうか。M&Aの経験を転職の武器とできる領域にはどのようなものがあるでしょうか。
M&A業界における人材ニーズ
金融用語としてのM&Aは企業の合併・買収を指しますが、広義には事業譲渡、資本提携など幅広い意味を含む場合もあります。手法には株式譲受、新株引き受け、株式交換、事業譲渡、合併、会社分割、合弁会社設立など、さまざまなものがあります。そしてM&A経験者は銀行などの金融機関全般、投資ファンド、投資銀行、M&Aを専門とするファームやアドバイザリーなど、幅広い企業からの求人ニーズがあります。
M&Aのどの段階に強みを持つか?
M&Aの業務は、段階によって大きく次の3つに分類することができます。
(1)ソーシング業務…有望なM&A案件を発掘する業務。ターゲットとなる企業を選定し、ターゲット企業との交渉を行います。
(2)オリジネーション業務…M&A案件を企業に打診する活動全般。プロジェクトを組む活動も含まれる場合があります。
(3)エクセキューション業務…M&Aに必要な事務手続きの実行、管理。
ソーシング業務で求められる人材の資質としては「有望な案件を発掘し、潜在案件を顕在化するための提案力」、「顧客のニーズを引き出すコミュニケーション能力」などがあげられます。この際、M&A経験者であればこれまでの経験で培った人脈や、実績に基づく顧客への説得力などが自分を売り込むアピール材料になるはずです。
続いてオリジネーション業務ですが、これは業務の大半が顧客との折衝に充てられます。M&Aを検討している企業はM&Aそのものを目的としているのではなく、M&Aの締結後(ポストディール)にもたらされる商圏拡大、シェア拡大、技術導入などの成果を目的としています。「M&Aありき」で交渉するのではなく、M&Aがもたらす成果を最大化するための提案力と、それを客観的に評価するためのバリュエーションスキルなどが必要とされるでしょう。
最後のエクセキューション業務は、プロジェクト全体をマネジメントしながらクロージングを行う業務です。弁護士、会計士、税理士などの専門家集団と連携しながら慎重に業務を進めていく必要があり、広範な知識とリーダーシップ、そして多くの経験が求められる分野です。この分野での経験を持つ人は転職の際に大きなアピールポイントとなるでしょう。
M&Aに限らず投資事業全体の中でも重要な業務として「デューデリジェンス(企業価値調査/買収監査)」があげられます。財務諸表だけでは測れない企業価値、あるいは顕在化していない課題や問題点(ディール・イシュー)を洗い出すデューデリジェンス業務については、それを専門に扱う第三者機関のコンサルファームやM&Aアドバイザリーも多く、そうした企業でデューデリジェンス経験者に対する人材募集が行われています。
クロスボーダーM&Aの経験者について
近年、大型のM&A案件の多くはグローバルで行われるクロスボーダーM&A(国際間M&A)となっています。クロスボーダーM&Aでは一般的なM&Aのノウハウに加え、語学力(英語、中国語など)、二国間の商法・商習慣の違い、民族性や文化の違いなどに対する対応が必要となり、ハードルはさらに高くなります。それだけにクロスボーダーM&Aの経験がある人は選考において有利になります。大手金融機関やグローバルファームなどからの求人ニーズは高く、好条件の待遇を提示されることも珍しくありません。
あらゆるフェーズでのM&A経験が評価の対象に
これまで説明してきた業務のほかにも、M&A経験者の転職では、PMI(Post Merger Integration=M&A成立後、企業価値の向上と成長を実現するための統合プロセスマネジメント業務)分野のノウハウを持っている人に対する求人ニーズも高まりをみせています。
M&Aという経営手法が日本に定着・浸透し、大企業をはじめ、多くの中堅~中小企業でもM&Aが行われるようになった今日では、求人市場ではあらゆるフェーズでM&A経験者に対するニーズが高まっています。M&A経験を転職の武器にするには絶好のタイミングといえるかもしれません。
転職市場で、M&A経験を生かして自分の強みを最大化するためには
・自分が経験したM&A案件の全体像
・そのなかで自分が果たした役割
・その経験から身につけたスキル(自分にできること)
について、わかりやすくアピールできるよう整理した上で、自分の経験がもっとも生かせる求人市場はコンサルティング業界なのか、金融業界なのか、あるいは事業会社なのかというターゲティングを的確に行うべきでしょう。
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監修:アンテロープキャリアコンサルティング この記事は、アンテロープキャリアコンサルティング株式会社が監修しています。 コンサル業界・金融業界への転職に役立つ情報を発信しています。 |
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