ERPコンサルタントへの転職を解説！転職可能なスキルと経験は？

ERPコンサルタントは、基幹系情報システム「ERP」パッケージの導入を通じて、クライアント企業の課題を解決する仕事です。SAPコンサルタントの上位職にあたり、採用ニーズの高いIT系コンサルタントの中でも、特にニーズの高い職種です。
ここでは、ERPコンサルタントの仕事内容や想定される年収をご紹介します。併せて、求められるスキルや経験、採用選考や面接時のポイントなどについても見ていきましょう。

ERPコンサルタントとは？

ERPとは、Enterprise Resource Planning の頭文字を取ったもので、日本語では「経営資源計画」または「企業資源計画」といいます。これは、経営における資源であるヒト、モノ、カネのほか、情報を一元的に管理・運用する手法であり、それにより社内の業務を統合して、一元管理するシステムもERPと呼ばれています。
ERPの導入・活用をサポートする専門家が、ERPコンサルタントです。

ERPコンサルタントの仕事概要

ERPが登場する以前、企業では経理や人事、営業といった部門ごとにシステムを開発・運用するのが一般的でした。しかしこの方法は、それぞれの業務に最適化されたシステムを使えるメリットはあるものの、部門をまたいでのデータ共有や連携が難しいというデメリットがあります。全体の情報が見えない、経営判断を行う上で欠かせない情報の収集や分析に時間がかかるといった課題は、多くの企業が抱える悩みとなっています。
そんな企業が抱える悩みを聞き取り、最適なERPパッケージの導入によってその問題を解決するのが、ERPコンサルタントの仕事です。

SAPコンサルタントとの違い

ERPコンサルタントに近い仕事として、SAPコンサルタントがあります。
SAPとは、ドイツに本社を置くビジネスソフトウェア企業・SAP社が提供しているERPパッケージです。SAPコンサルタントは、このSAP導入の専門家です。
これに対しERPコンサルタントは、SAPのみならずOracle社やIntuit社などの、さまざまなERPパッケージに精通した、その導入を担うポジションであり、SAPコンサルタントの上位職にあたります。
ただし、実際には、すべてのERPに対応できる人は珍しく、得意な領域やスキルには偏りがあります。
代表的なERPパッケージには、下記のようなものがあります。

＜代表的なERPパッケージ＞
・SAP：日本でも2000社以上が導入しているといわれる、2019年時点で世界シェア1位のトップブランド
・Oracle EBS（Oracle E-Business Suite）：2019年時点で世界シェア2位のERP
・Intuit：2019年時点で世界シェア3位のERPで、特にアメリカ市場で信頼を集めています
・Microsoft Dynamics 365：マイクロソフト社のERPです
・GLOVIA：国内シェア一、二を争う富士通のERPです
・奉行V ERP：主に国内の中小企業に支持されているOBCのERPです

転職市場の最新動向

コンサルティング業界全体では戦略コンサルタントの人気が高く、あえてERPコンサルタントを目指す人は多くはありません。 ITに対して高い関心を持っている人はともかくとして、人気とはいえない職種です。

ただし、ERPコンサルタントを募集するコンサルティングファームの側から見ると、状況はまったく違います。ERPパッケージの導入は、どのコンサルティングファームにとってもオファーの多い案件です。しかし、現在就業しているERPコンサルタントを引き抜くことは難しく、新規の希望者も少ないので、ERPコンサルタントは慢性的な人手不足状態にあります。そのため、ほとんどのファームが、「実力のある人材がいればすぐにでも採用したい」と考えています。

ERPコンサルタントの仕事内容

ERPコンサルタントは、クライアント企業にヒアリングを行って経営課題を明確化した上で、状況を分析し、課題解決のために最適なERPパッケージの導入を提案します。開発チームとコミュニケーションをとりながらERPパッケージを最適化し、導入および導入後のサポートまで行うのがERPコンサルタントの仕事です。
具体的なERPコンサルタントの仕事内容は、下記のようなものが挙げられます。

・クライアントにヒアリングを行い、解決すべき企業の経営課題を明確化する
・現状を分析し、経営課題解決の方法を考える
・ERPパッケージ導入の工程をまとめ、クライアントに提案する
・ERPパッケージの開発チームとコミュニケーションをとりながら、システムを最適化し、導入する
・システム導入後のサポートを行う

ERPコンサルタントの年収は？

実際の求人情報から、ERPコンサルタントの想定年収を紹介します。各企業で求められる仕事内容、想定年収を見ていきましょう。

■ERPコンサルタントの年収例

企業名	仕事内容	想定年収
総合コンサルティングファーム	プロジェクトマネジメントコンサルタント（業務改革・ERPコンサルタント）	500万～1500万円
アクセンチュア株式会社	システムコンサルタント	500万～2000万円
アビームコンサルティング株式会社	ITマネジメントコンサルタント	500万～2000万円
デロイトトーマツコンサルティング合同会社	SAPコンサルタント／SAPエンジニア	～1200万円程度
ITリスクコンサルティング	会計システムコンサルタント	500万～1200万円
デロイトトーマツコンサルティング合同会社	Oracleコンサルタント／エンジニア	～1200万円程度

ERPコンサルタントに求められるスキル・経験

ERPコンサルタントの採用募集は、大きく分けて「同業の経験者の募集」「SAPやOracleなど、ERP導入に携わったことがある人の募集」「ポテンシャル採用枠の募集」の3つがあります。それぞれ採用側からどのようなニーズがあるのか見てみましょう。

同業の経験者の募集

同業の経験者は、採用側のコンサルティングファームにとって最も理想的な人材です。ただ、人材基準を満たす人が少ないのが現状であり、採用側も同業の経験者の採用だけにこだわっているわけではありません。

デロイトトーマツグループのSAPコンサルタントがアクセンチュアに転職するといったケースは、同業の経験者扱いになります。「なぜ転職したいのか？」は必ず聞かれるところですので、答えを用意しておく必要がありますが、スキル・経験については前職の実績をしっかり説明できればそのままアピールポイントとなるでしょう。

SAPやOracleなど、ERP導入に携わったことがある人の募集

TTデータや富士通などの大手SIerおよびその関連子会社で、SAPやOracleなどのERPパッケージ導入に携わった経験が求められます。ERPを導入する企業側のスタッフとして、ERPに関わった経験でも構いません。

ERPパッケージの導入経験と関連知識は、最も求められる領域です。どのERPに対して、どの程度の知識・経験があるかは採用側の重大な関心事なので、自分の専門とするシステムの最新資格を持っていれば大きなアピールポイントになります。資格の受験料等を補助してくれる企業もありますので、転職を考えているなら、今のうちにできる限り取得しておくのがおすすめです。

また、ITコンサルタント職の共通傾向ですが、年齢や業務経験年数に見合ったスキルや経験を超えるようなプロジェクト経験があると、プラス評価につながります。例えば、入社2～3年目でチームリーダーの経験がある場合は、評価されるポイントになります。
なお、前職の会社規模はあまり気にされず、元請会社でも2次請け、3次請け会社でもそこに評価の違いはありません。「どの会社にいたか」より「プロジェクトの中でどういう役割を果たしてきたのか、もしくは果たせるのか」が重視される傾向があります。

ポテンシャル採用枠の募集

ポテンシャル採用の場合は、論理的思考力や考えていることを正確に話せるスキル、コミュニケーション能力など、コンサルタントとしての素養が重視されます。
未経験から挑戦する場合は、なぜERPコンサルタントになりたいのか、ERPコンサルタントになって何がしたいのかは必ず質問されますので、きちんと答えを準備しておきましょう。

デロイトトーマツグループなど一部のコンサルティングファームでは、SAPチームに配属することを前提に第二新卒の募集を行っています。新卒入社と同じタイミングで入社し、同じ研修を受けることにはなりますが、前職が金融機関の法人営業など、ITと関係ない分野でも採用の可能性はあります。しかし、あくまでも例外であり、業界全体で見ると、基本的にはIT業界未経験者でも応募可能な求人は非常に少ないです。

ERPコンサルタントの採用選考・おすすめの面接対策

ERPコンサルタントの採用試験は、筆記試験、適性検査と数回の面談となります。
基本的には一般的なコンサルティング職と変わりなく、論理的思考力やコミュニケーション能力が重視されますので、普段から論理的思考のトレーニングを行っておくこと、転職の理由や現職で不満を感じていることなどについて、しっかり返答できるよう、準備しておくことがポイントです。
加えて、ポテンシャル採用を除けば、ERPのスキル・経験は必ず詳しく聞かれますので、簡潔に説明できるようにまとめておきましょう。

なお、戦略コンサルタントの面接試験で行われるようなケース面接が行われることは、ほとんどありません。ただし、もしあったとしても困らないよう、ケース面接への対策はとっておくのがおすすめです。

ERPコンサルタントに向いている人

ERPの導入は、細かい作業の積み重ねなので、細かい作業が苦にならない人、一つひとつ地道に物事を考えていける人はERPコンサルタントに向いているといえます。
実際に、物事を大雑把に処理するような人より、地道な積み重ねが苦にならない人のほうが、採用後も長く活躍する傾向があります。

ちなみに、転職者のボリュームゾーンは20代半ば～30代前半ですが、経験者の移動が多いため、40歳ぐらいまでなら、特に年齢がマイナス要素になることはありません。IT系コンサルタント全般にいえることですが、スキルが重視されますので、採用における年齢の優先度は低いです。

未経験からERPコンサルタントに転職は可能？

デロイトトーマツグループの第二新卒募集の例のように、IT分野未経験でも応募可能な求人はありますが、基本的には何らかの形でERPに関わった経験が求められます。
ITの別領域からERPに移る人も少なく、同領域内で転職する人がほとんどです。

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転職エージェントに相談するメリット

ERPコンサルタントの仕事内容は、どこのコンサルティングファームでも大きな違いはありません。ただ、企業文化やITにおける得意分野、好む人材の傾向などはファームによって違いますので、自身のスキル・経験・志向に適したファームに入るには、情報収集が必須です。しかし、一人で情報を集めるには限界がありますし、自身の能力や経験、可能性が転職市場でどう評価されるかは、客観的な視点が入らないとわからない部分があります。

アンテロープキャリアコンサルティングでは、専任のコンサルタントによるキャリアミーティングを通じて、転職市場の最新のニーズやファームごとの詳細情報をご提供しています。また、応募者様の現在の意向や将来的なビジョンも共有していただいた上で、スキル・経験・志向に適した企業、ポジションをご紹介しています。
転職支援サービスのご登録・相談は無料ですので、ぜひご利用ください。

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ERPコンサルタントへの転職希望者にキャリアコンサルタントからアドバイス

キャリアコンサルタント
諏訪夏樹 / Natsuki Suwa

2次請け、3次請けベンダーで働いていると、自身のスキルや経験、可能性が転職市場でどう評価されるのかわからず、「転職は難しい」と考えてしまいがちです。しかし、実績を積み重ねてきた方なら、きちんと評価してくれる企業はたくさんあります。まずは一度、外の風にふれてみてはいかがでしょう。求人情報を調べるのはもちろん、お気軽に転職エージェントへご相談いただき、市場ニーズの中でのご自身の立ち位置を知ることが、転職への一歩になると思います。

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監修：アンテロープキャリアコンサルティング
この記事は、アンテロープキャリアコンサルティング株式会社が監修しています。コンサル業界・金融業界への転職に役立つ情報を発信しています。