アスパラントグループ　インタビュー特集第3回：リターンの最大化だけがファンドの価値ではない

アスパラントグループ

原知己　マネージングパートナー

PROFILE

銀行員として法人融資、富裕層資産運用業務に従事。支店にては複数店舗にて営業責任者として従事。1999年にベルシステム24に転職し、金融部門、首都圏CRM部門において、各業界大手である主要クライアントへのソリューション提案を実施。2014年よりアスパラントグループに参画、事業支援部門の責任者を務めるとともに、自身も数多くの投資先企業の経営陣として変革を推進する。

-自ら汗をかき、本当のハンズオン支援を行う
-常駐先300人の社員全員と何度も会話
-投資される側の立場からもアスパラントは非常にユニークな存在

常駐先300人の社員全員と何度も会話

御社の投資戦略には「働く株主」というキーワードがありますが、事業支援チームの基本姿勢について教えてください。

原

我々は投資先にそれなりのポジションで入っていくケースも多いですが、事業の概略を理解することは出来ても、本当のコアの部分ではずっとその事業に携わってきた方に到底太刀打ち出来ません。イメージとしては、理解出来たと思っても全体の2～3割といったところではないでしょうか。この圧倒的な差を資本の力関係だけで乗り切ろうというのはどだい無理な話で、短い時間の中でも出来るだけ現場に入り込み、多くの会社の方々の話を聞き、そこで自分も謙虚な姿勢で理解を深めつつ相手にも認知していただく、そういった姿勢が非常に大事だと思っていますし、実際にそういうやり方をしています。

現場に入り込む、という部分をもう少し詳しくお話しいただけますか。

原

実際に一定期間、現場の一従業員として業務を経験するところからスタートするケースもあります。それと、これはアスパラントの特徴だと思うのですが、投資先に対するヒアリングはマネジメント層だけでなく、現場で働いている方にまで枠を広げています。その会社のビジネスを理解するにあたって現場の声を聞かなければ、それは絶対に不完全なものになると思っているからです。私自身も、最初に常駐した投資先では300名近い社員全員と、一人あたり3回以上は話をする時間を設けました。当時は全社員の7割くらいの顔と名前は一致していた、と記憶しています。

今後チームを拡大するにあたって、欲しい人物像について教えてください。

原

もちろん知識は大事で、ないよりもある方が間違いなくいいです。ただし、少なくとも事業支援チームにおいては一番のポイントはそこではありません。アスパラントのスタイルで現場に入っていくことを考えると、人とのコミュニケーションを大切にする、その努力をすることが何よりも大事です。それは弁舌が巧みとか外面がいいということではなく、正直に自分を出して相手に理解してもらい、相手のことも理解する努力を怠らないということです。私の体験ですが、投資先の印刷会社で40年間ひたすら巨大な輪転機を扱っているという作業員の方がいらっしゃいました。その方は機械が回っている音を聞いただけで、その日の状態が分かるとおっしゃっていて、それはどんな精密なセンサーでも敵わない職人の技でした。現場にはそういう人がいる、そういう人がいないと会社は成り立たないのだということを、自分のスキルだけで立ち回ってきた人間は見落としがちです。自分に自信を持つことを否定はしませんが、チームとして物事にあたる方がはるかに強くなるのは間違いありません。その職人の方々と同じレベルで、労を惜しまず汗を流せる人間が我々の求める人物像です。つまり、アスパラントグループの行動規範である努力創意、誠実信頼、利他共助、果敢実践を実際にできる方です。

投資される側の立場からもアスパラントは非常にユニークな存在

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