投資ファンドの最新求人動向

2023-07-12 執筆者:加藤 浩

今年1月、某外資系投資銀行の日本での投資銀行業務撤退というニュースから始まり、今月にいたるまで外資系大手投資銀行での人員削減が次々に発表されています。リストラはVPやディレクター以上からジュニア層まで、広範にわたっています。

当然、それらの会社は採用どころではないので、募集は実質ストップしています(中には「かなり強い即戦力人材がいれば」ということで門戸を開いている企業もあります)。ただ、外資系が一様にそのような状況というわけではありません。特にM&Aでもクロスボーダーだけでなく国内案件もバランス良く獲得できている企業はディール件数も多く、採用も積極的に行っています。同様の背景で、日系の投資銀行やFASなどでも多くの企業は募集を継続しています。その帰結として、外資の人材が日系へ流れ込んでいくというパターンも多く見られます。

一方でPEファンドの求人動向ですが、もともとコロナ禍の影響も比較的少なかったことに加え、海外の景気などに左右されることも少ない業界ということもあり、引き続き募集は多く出ています。

ファンドの場合、基本的にファンドレイズができれば採用に充てる費用も管理費から出てきますし、現在の国内であれば資金を集めることはそこまで難しくないという背景もあります。また、新たに立ち上げられたファンドも複数出てきていて、その場合は上はMDクラスから下はジュニアクラスまで幅広く募集がかかっています。

ただし、上記経緯もあってマーケットに投資銀行系人材が多く出てきているので、競争環境はやや厳しくなっています。ファンドによっては、競争倍率が100倍を超えることも珍しくありません。求められる経験も依然、何らかのM&A領域の経験が中心になっています。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。