PEファンドの選考対策

2022-12-28 執筆者:加藤 浩

PEファンドの選考方法は、各社によって結構違いがあります。
しかし総じて言うと、志望動機の掘り下げなど、皆さんが想像するよりはオーソドックスな質疑応答が中心です。これにテクニカルチェック(簡単なケースを使うこともあり)、モデルテストが一部加わることがある、という形です。そこで今回は、メインとなる志望動機、テクニカルチェックについて解説いたします。

■志望動機

どの面接官からも聞かれる、もっとも重要な項目です。「なぜPEなのか」「なぜうちなのか」「何がやりたいのか」などを深く掘り下げて聞かれます。
「なぜ御社なのか」ということを伝えるには単にロジックが成立していれば良いということではなく、業界に対する理解、PEの仕事に対する理解が求められます。
例えばよく「投資先の経営がしたい」という志望動機を語る方もいらっしゃるのですが、面接官からは「それならコンサルでもいいんじゃないですか?」「スタートアップに行った方がいいですよ」などと突っ込まれたりします。もちろん投資先の経営をする場面はありますが、PEの仕事(特にアソシエイトとしての仕事)内容をイメージできていれば、もう少し説得力のある志望動機が語れるはずです。
また、そのPEに入った場合に「入社したらどういう会社に投資すべきか」という自分なりの投資仮説を持っておく必要もあります。当然そのPEがターゲットにしている業界や企業のサイズ感などを意識する必要もありますし、市場環境を考慮したり、EXITまでのストーリーまで持っておく必要もあります。
PEファンドについての情報はネットや書籍の情報だけではなかなか取りきれないのが実態なので、我々のような特化型のエージェントをうまく活用いただくとよいです。

■テクニカルチェック

毎回聞かれるわけではないですが、PEによっては「〇次面接はテクニカルチェック中心」と決めているところもあります。
「会社の強さを知りたいときに一番何を見る?」「投資の時に何を見る?」「WACCの計算式、フリーキャッシュフローの計算式を言ってみて」「valuationをするときの割引率はどう計算する?」といったような質問を立て続けにされたりします。
PEによっては有価証券報告書などのコピーを渡されて「この会社をどうやって再生させる?」「棚卸資産をどう見ますか?」「このROAはどう思う?」など問われて議論することもあります。
投資銀行出身の方からするとさほど難しくないと思いますが、コンサル出身者などであれば、ある程度書籍等で予習しておく必要があります。


特に志望動機の方は、何を準備すべきか分かっていればそれほど準備期間はかからないはずです。
ただ、これをやらずに面接に臨んでしまう人が結構多いので、準備するだけで他の候補者と圧倒的に差をつけられます。
また、志望動機を準備する過程で自分に合ったPEがどういう先なのかが浮き彫りになってくるので、間違いのない転職をするためにもしっかり時間をかけるのがオススメです。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。