アンテロープのインターンシップ制度

2023-06-16 執筆者:小倉 基弘

今回のコラムでは、2014年から開始したアンテロープのインターンシップ制度について制度の背景、内容について説明します。

インターンシップは「在学中に企業において将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義されており、実情としては学生が興味のある業界、もしくは企業において就業体験を行い、就職活動の準備として、場合によってはそのまま双方の合意があれば就業するシステムになっています。

アンテロープの場合は、目的が大きく違っています。

人材業界もしくは弊社に興味がある学生ではなく、弊社のクライアントもしくはカバーしている業界(特に金融業界、コンサルティング業界、スタートアップ等)に興味を持っている学生が弊社において就業体験をすることによって、特に投資に関わる金融業界(投資銀行、PE、VC、アセットマネジメント、不動産ファンド等)、コンサルティングファーム全般及びVCの投資先であるスタートアップについての業界動向、業界内でメジャーな企業から小規模ながら強い特徴を持っており業界の人間であれば誰でも知っているような企業にどういったものがあるか、また各社に入社されている人材の経歴、その後にどういった業界・企業に転身しているのか、さらに年収水準が転職によってどのように変化しているかを把握することができます(もちろん守秘義務契約を結んだ上で)。

例えば投資銀行でいえば、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、野村證券は知っていますが、ラザードフレール、フーリハン・ローキーは知らない。プライベート・エクイティについてはKKRも知らない。VCはジャフコについては知っているかもしれませんが、DCM、DNX Venturesは知らないという学生がほとんどです。上記に挙げたファームは日本人にとっては知名度が低いのかもしれませんが、グローバルでは業界の人であれば誰もが知っているファームなのです。

また各業界、各企業に所属されている方々がどういった学歴なのか、どういった職業を経ているのか、資格は何を持っているのか、年収水準はどのレベルであるのかについては、まったく情報を持っていないと思われます。極端な話、日系のメガバンク、大手証券の中にどういった部門があり、自分が将来やりたい仕事に就くためにはどの部門に配属されなければならないのかについても知らないのです。これらは大学の就職課、OBOG訪問では知りえない情報です。

1986年の春に就職活動をして当時の日興證券に入社して社会人生活をスタートした私自身も、上記のような情報をまったく持っていませんでした。アンテロープでのインターンシップ制度は、私自身の反省から生まれたものです。

会社から、また会社の人事から与えられた目の前の仕事を一生懸命に行うこともとても大切ですが、40年近くも続くキャリアについて自身で計画を立てる、長期的なイメージを持つことによって人生のやりがい、生きがいを創り上げていくことも重要であると思います。そのためには、興味のある業界の表面的な情報ではなく深い情報を持つことが必要です。

2014年に開始して現在まで、13名の方々が弊社のインターンシップ制度を体験しています。1986年の自分自身に教えるように業界の情報、仕事に対する考え方、思いをインターン生に語りかけています。

代表取締役小倉 基弘 / Motohiro Ogura
【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。

【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。