「遠くをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」
これも前回に続き、二宮尊徳の言葉になります。
人生も仕事も企業経営も、まったくこの言葉通りです。
10年、20年先にキャリアコンサルタントとして確固としたステイタスを得ているためには今、私たちは何をすれば良いのでしょうか。
10年後の人材業界はどうなっているのか考えたことはありますか。
・エージェントの数は今より圧倒的に増加しています。
・Webの情報サイト、ビジネスSNSはさらに進化して、個人があらゆる情報(求人情報は当然のこと、誰と誰が知り合いなのか等)が取得できています。
未来において、向上心を持ち、キャリアを通して自己実現を図ろうとしているキャンディデイトが真に欲しているものは何なのでしょうか。
求人情報は大量に手に入ります。
頻繁にスカウトメールや怪しいエージェントからコールドコールも入ります。
本当に手に入れにくいものは、長期的なキャリア構築に対する的確なアドバイスと、企業との信頼のリレーションシップなのです。そのリレーションシップから入手できる内部情報なのです。
このリレーションを構築できないのであれば、多数のエージェントとの際限ない競争に巻き込まれるでしょう。
10年後を考えた行動をせず、数カ月後しか考えていないのであれば、何年経っても汲々とした仕事しかできないでしょう。
私たちが信頼されうるキャリアコンサルタントとして成長していくためには、特定分野のクライアントに対する頻繁な訪問活動により信頼関係を構築していくしかありません(重要なことですがクライアントは最終的に私たちのキャンディデイトになりうるのです)。メールを送ったり、電話をかけたりしているだけでは強い関係は構築できません。
そして特定分野のキャンディデイトに対して、定期的なミーティングによる信頼関係構築をしていくことが必要です。メールだけでは同じく本当の関係は構築できないのです。
地道な自己啓発も必要です。特定の業界・企業の深い知識の取得、卓越したコミュニケーションスキル(日本語以外も)の習得、人格の向上を怠っていれば、仕事は充実せず、つまらないものになります。
特定分野の業界に対するリレーション構築を徹底的に行っていき、クライアント、キャンディデイトとのネットワークを強固にしていけば、真に必要なサービスをキャンディデイトに提供できるようになり、私たちの仕事は高度になっていくのです。
10年先もビジネスをしていたいクライアントと今、リレーションをとってください。現在、求人案件があっても10年後に取引をしていないようなクライアントとはビジネスをしないでください。
10年後もお互いの成長のために情報交換を行っていたいキャンディデイトと今、コミュニケーションをとってください。

- 【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。
【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。