コンサルタントへの転職で求められる人物像
【職能上求められること】
コンサルタントには、知識や過去の経験に頼らずゼロベースで問題を解決する力、具体的には、適切に論点整理をして質のよい仮説を立てたり、課題解決に向けたプロセスを整理したりすることが出来る力が求められます。このような力を仕事上身に着けている可能性が高いことが評価されるのはもちろん、大手事業会社における経営企画/マーケティングなど事業戦略立案や企画系ポジションの経験、あるいは事業投資やM&Aなど事業の方向性を決めたりそれを推進する役割を担っていたような経験も評価されます。そうした経験があるということは、すなわちコンサルティングのプロジェクトで課題になるようなテーマに「クライアントサイド」から関与してきたと考えられるためです。特別な知識に秀でていることや高度に専門的な経験は、コンサルタントとしての強みにはなりますが、やはりベースとなる思考力、つまり知識よりも経営課題の解決に向けた「知恵」をクライアントに価値提供出来る力があることが前提になります。
他方、総合系や人事、財務など専門特化型ファームの場合は、自らが専門するインダストリーやファンクションのスペシャリストとしてクライアントの前に立ちますので、やはりカバーする業界や業務について一定の知識があることが必要とされます。
また、最近の傾向として、各コンサルティング会社ともに英語の必要度合いが高くなっています。これは例えば日系の企業が海外進出をする際の支援に入るなど、海外のファームやクライアントと連携をしながら進める案件が増えて来ているためです。
【求められる資質】
コンサルタント、特に戦略系ファームの仕事は一言でいうと「考えることの職人」、いわば問題解決のスペシャリストです。「20年後にこの事業の競合環境はどのようになっていて、その中で取り得る戦略は何か」、「海外から観光客を倍増させるにはどのような施策が有効か」といった、何から考えたらよいか分からないような正解のない課題に対して、筋道立てて論点を整理し、質のよい仮説を立て、クライアントが納得するような結論を導かなければなりません。論理的思考力は、このような場面で必ず必要とされるコンサルタントのもっとも基礎的なスキルであると言えます。
また、アウトプットを分かりやすくクライアントに伝えたり、プロジェクトメンバーやクライアントとしっかりした信頼関係を築けるコミュニケーション能力、この人の言うことなら聞いてみよう、と相手に思わせる人間的な魅力も欠かせません。
最後に、我々の経験から言えば、成功するコンサルタントはみなさん、クライアントのビジネスの成功や事業の発展を心から願い、コミット出来る強い責任感やプロ意識をお持ちです。クライアント以上にクライアントの事業のことを考え、朝起きた瞬間から夜寝るまで、いつも頭のどこかでプロジェクトのことを考え続けています。職業としてのプロ意識があることはもちろんですが、根本的に分析的に考えることや、相手のために付加価値を出すことに強い喜びを感じられるようなマインドセットをお持ちなのだと思います。