コンサルティングファーム固有の働き方と呼び方・階層について
コンサルティングファームのコンサルタントは、明確な所属部署を持たず、プロジェクごとに召集(アサイン)され、期間中はプロジェクトチームのメンバーとして働きます。一定の期間のプロジェクトが終了すると解散し、また次のプロジェクトにアサインされて行きます。これは一般の事業会社にはない、コンサルティングファームに固有の働き方の一つです。
コンサルティングファームで働くコンサルタントは、経験年数や職責によって、4~5つの階層に分かれています。呼び方や階層の数は各ファームによって異なりますが、代表的なのは以下のような形です。
- アソシエイト
- コンサルタント
- マネージャー
- プリンシパル
- パートナー
一つのプロジェクトには、各階層からメンバーが集まり、3~5名ぐらいのチームを構成します。以下で、各階層ごとの具体的な仕事内容、役割をご説明します。
【アソシエイト】
プロジェクトの中で、情報収集や調査、分析作業を主に担当します。コンサルタントに同行してクライアントへのインタビューを行ったり、調査を依頼された事項について公開情報をリサーチしてまとめたり、ミーティングにおいて議事録を作成することなどが具体的な業務です。業務ITコンサルタントの場合は、プログラミングを行いITに関する知識を習得することもあります。また、財務や再生系コンサルティングファームのアソシエイトは、財務諸表の数値と財務モデルを駆使して企業価値を算定するバリュエーションと呼ばれる作業や、デューデリジェンスという企業の事前調査を任されることも多くあります。
【コンサルタント】
コンサルタントになると、自分の判断でクライアントの課題に対する仮説の構築や検証作業を進めることになります。プロジェクトを構成する一定の範囲(モジュール)を担当し、自分の担当モジュールで伝えるべきメッセージ/仮説を考え抜きます。その上でどのような情報を収集すべきか、誰にインタビューすべきかプランを作成し、時にはジュニアコンサルタントに仕事を振り分けながら、ワークプランに沿って作業を進め、担当モジュールの完成を目指します。業務IT系のコンサルティングファームでは、クライアントにとって最適なビジネスプロセスの再構築やシステム要件の定義など、より上流の作業に入ります。
【マネージャー】
マネージャーは、プロジェクトの実質的な現場責任者、各プロジェクトにおいてファームの顔となる存在です。マネージャーの主たる役割は「プロジェクトの進捗や内容、品質管理」「クライアントとの交渉」「プロジェクト予算の管理」です。具体的にはクライアントの抱える本質的課題を考え抜いた上で、答えを出すべき論点や最終的なメッセージを整理し、プロジェクトの組み立てを行います。そしてこのフレームにそって各メンバーへの役割・ジョブを割り振り、進捗を管理します。また、プロジェクトの進捗に応じてクライアントの報告先である経営幹部との議論を進め、適宜スコープや成果物について見直しを行いながら、最終報告会まで責任を持ってプロジェクトをリードします。
【プリンシパル】
プリンシパルクラスになると、それぞれ業種別・機能別の専門性を持ち、各プラクティスのコアメンバーとして専門分野における知見と洞察力を高め、各ファームの知的資産の開発に貢献、また若手コンサルタントの指導育成やキャリア・ディベロップメントの支援を行います。クライアントに対しては、複数のプロジェクトの運営や品質に責任を持つようになる他、クライアントの更なる変革や価値の向上に向けた適切な新規提案を行い、長期的なビジネスのドライブを支援します。
【パートナー】
パートナーは、クライアントに対するリレーションを構築・維持するとともに、プロジェクトにおいては最終責任者として顧客に対するすべての責任を負います。もっとも重要なミッションは新規プロジェクトを受注することで、担当クライアントの経営幹部とのコミュニケーションを保ち、自身の専門性や知見を駆使してクライアントのビジネスの更なる発展に向けた適切なプロジェクトの提案を行います。また、オピニオンリーダーとして広く産業界全体に働きかけてファームのプレゼンスを高めたり、オフィスの運営や組織の構築、スタッフの採用などファームの運営や事業開発にも責任を有する「事業責任者」的な存在です。