関西地区のコンサルティング転職市場

2018-04-25 執筆者:佐藤 史子

ここ1年ほどの間で、大手外資系経営コンサルティングファームを中心に関西拠点の新設や増強の動きが目立っています。

今年に入って、まずアクセンチュアが2月に大阪オフィスを大幅に拡大。コンサルタントの増員に備えて、もともとあった大阪・中ノ島のオフィスを5倍に拡張しました。現在は数百人の陣容ですが、今後2年間で1000人規模への拡大を目指します。続いて、マッキンゼーが3月に関西オフィスを新設しました。拠点は大阪市中央区の大阪国際ビル。国内拠点としては、東京に次ぐ2箇所目です。コンサルタント数十人規模でスタートして、事業の拡大に応じて増員していくことを予定しています。また昨年6月には、デロイトトーマツコンサルティングが京都オフィスを新設しています。東京、名古屋、大阪、福岡に次ぐ5番目のオフィスの開設です。

また、その他にも財務経営コンサルティング会社のフロンティアマネジメントが大阪支店で新たな募集を始めたり、ベンチャー支援のトーマツベンチャーサポートが大阪オフィスの増員に乗り出したりと、コンサルティング業界全般に関して、関西に熱い視線を向ける動きが本格化する潮流を感じます。

京阪神地区には、グローバルに事業を展開する優良なメーカーが多く集積しています。パナソニック、シャープ、日本電産、京セラ、村田製作所など、電子部品や素材メーカーを中心に大手が集まっており、経営戦略の立案のほか、工場やオフィスの業務効率化などのニーズがあります。また、IoTをはじめとするデジタル技術に対する感度が高く、全世界を対象としたビジネス展開を加速させている企業も数多く、この点でもポテンシャルが見込めます。

各ファームに共通するのが、このエリアに拠点を構えることで、手薄だった京阪神地区にコテ入れし、本格的にカバーしていこう、という狙いです。裏を返せば、東京のコンサルティングビジネスが過密状態で、過当競争気味になっている、ということかもしれません。

コンサルティング業界でキャリア形成を目指す候補者の方々にとっても、この動きは新たな転職市場の形成に繋がるかもしれません。従来、トップファームで働くチャンスはどうしても東京に集中してしまい、東京以外で転職をする場合、コンサルとしてのキャリア形成に難しさがありました。

現在、各社の関西オフィスはまだ成長期であり、転職市場としてもポテンシャルが期待できます。また、東京オフィスほど組織が大きくも細分化されてもいないため、ひとりの方が領域をまたいで多様なテーマの案件に関われます。加えて、超大手企業ばかりでなく、社長や経営幹部が直接カウンターになるような規模感の会社もありますから、重要度の高い戦略案件を経験する機会も数多くあります。

コンサル経験者も当然少ないエリアですから、ご経験者であれば、ポジションアップしての転職も狙えます。Uターンで地元に帰ることを考えている方はもちろん、これから業界を目指す方も検討する価値のある選択肢になるかもしれません。各社の採用状況など、ぜひお問い合わせください。

佐藤 史子 / Fumiko Sato
【経歴】
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒。新卒で大手新聞社に入社し、取材記者として勤務。その後大手総合人材サービス会社を経て2008年より現職。人材業界でのキャリアは通算15年以上にわたる。

【担当領域/実績】
コンサルティング業界担当。毎年年間200名以上の候補者の転職やキャリア形成をサポート。外資系戦略コンサルティングファーム、総合系ファーム、会計系財務アドバイザリーファームを中心に業界でのネットワークを広く持ち、現役コンサルタントの方々との日々のコンタクトを通じて業界の生の情報に触れ、コンサルティング業界の最新動向やキャリア形成に関する知見を磨く。これらをソースにした的確な転職アドバイスに強み。大手ファームへの転職支援はもちろん、ポストコンサルの方々のファンドや事業会社のコアポジションへの転職支援実績も多数。