PEファンドではどのくらいのキャリーがもらえる?

2018-07-18 執筆者:加藤 浩

PEファンドでは、どのくらいのキャリーがもらえるのか? という質問をよくいただきます。

キャリーというのは、正確にはキャリードインタレスト。
ファンドが投資から得た儲けの一部を、メンバーがボーナスとして受け取るものです。

業界標準としては、投資から得た儲けの20%程度がファンド側に入ります(残りの80%は投資家に戻されます)。
あとはそれぞれのファンドの方針によりますが、例えば20%のうち半分を会社にキャッシュとして残し、残り半分をメンバーで配分したりします。

話をシンプルにして、例えば500億円のファンドが最終的に1000億円になったとして、儲けが500億円。
500億円のうち400億円は投資家に戻しますが、残りの100億円がファンドを運営していた会社側に入ります。
50億円は会社に残すとして、残り半分の50億円をメンバーで分配します。

では、どのように分配するのか。
ここから先はファンドごとにかなり異なりますが、ひとつは役職(タイトル、MD、D、VP、アソシエイト等)によって、加えて各案件への関与度や貢献度によって決まったりします。

実はこの分配方法がどうなっているかは、当のファンドの社員にすら開示されていないケースも多いです。
ただし間違いなく言えるのは、タイトルが上がれば上がるほど配分は増えるということ。
もっと言うと、アソシエイトクラスにはキャリーの配分がないファンドも結構あります。

キャリーには基本的に上限はないですし、ファンドのパフォーマンスによってかなり変わってくるので「どのくらいもらえるのか?」は一概には言えないですが、MD、D(ディレクター)クラスだと本当にうまくいけば億単位が出ます。過去には10億単位で出た人も現実にいます。

もっとも、例えば1号ファンドの運営に失敗すれば2号ファンドはレイズできないですし、2号が失敗すれば3号はなく、結果失業してしまうわけです。
厳しい世界でありリスクもある仕事ですが、その分、社会貢献度やリターンは大きく、やはり遣り甲斐のある仕事ですね。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。