面接における合否基準

2017-10-25 執筆者:加藤 浩

面接に通らなかった時、会社によっては「総合的に勘案しまして」という表現に留めて、明確な理由を教えていただけないことがあります。もちろん、通っても通らなくても受けた方は当然理由を知りたいですし、弊社としても可能な限りのヒアリングをします。そうしたヒアリングを通じて分かってきたのが、人物的な評価などソフトな部分での理由が実はとても多いこと。やはり、それをそのまま言葉で候補者へ伝えるのは控えたいと企業側は考え、「総合的に勘案」みたいな表現になったりします。

受けた側からすると、しっかりコミュニケーションもアピールもしたし、求人要項に合致したスキルや経験も持っている。なぜ落ちたんだと納得を得られない方もいます。中には「自社の同期の彼は内定が出たのに、同じように実績を出してきた自分がなぜ落ちるのか」と疑問を感じる方もいます。ここが落とし穴で、こういう方は転職活動をどこかで「受験」と同じように捉えてしまっています。転職活動は「受験」ではなく「お見合い」です。マッキンゼーに受かった人なら他のコンサルファームのどこでも受かる、というわけでもありません。

この「転職活動はお見合いである」という捉え方は、選考プロセス上も非常に重要です。例えば、書類選考を通過して面接へ進んだのに面接候補日程をなかなか挙げなければ、相手は「お見合いの場を設定しましょう、と返事したのに乗ってこない」とネガティブな気持ちになります。まして、内定を出した(プロポーズをした)のに「他(の子)も見てみたいので返事をもう一週間保留させてほしい」などと言えば、相手(企業)は「だったら取り下げる!」という気持ちになったりもします。こういったことを意識して活動するかどうかだけで、実際かなり合否は左右されます。面接の合否には相手の「感情」がものすごく入り込んでくるのです。

もちろん、「仲人」としての役割を果たすために我々エージェントがいます。ネット上で色々な求人情報を見ても、それぞれがどんな温度感なのか、募集要項には見えない部分で実際にはどんなことを求めているのか等を踏まえてアドバイスさせていただいています。同じ企業の同じポジションでも、受けるタイミングによって全く結果は異なります。採用ニーズが弱いのに、とりあえずオープンになっているという求人も実は非常に多いです。

一方、お見合いと違うのは、受ける側は一人(一社)だけにアプローチするわけではなく、複数社並行して応募をする点です。新卒の就活と違って、必ずしもどの会社に対しても「御社が第一志望です!」と言わなくてもいいのですが、企業側の感情に対する配慮は想像以上に求められます。ここをやはり「受験」的な感覚で捉えていると(とりあえず一社内定を確保しておこう、etc.)、様々な罠に陥ります。

現実には金融業界・コンサル業界でも、もっというと企業毎にも上記の細かい実態は異なります。弊社キャリアコンサルタントは、それぞれの方にカスタマイズした仲人的役割を果たさせていただきます。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。