プロに話を聞きにいく時のマナー

2017-09-27 執筆者:山本 恵亮

転職を考えた時に、興味がある業界ですでに働いている人に話を聞いて、その業界の理解を深めようとする人は多いのではないでしょうか? 今回はそんな時に気をつけるべきことについてお話します。

ある業界で第一人者のプロフェッショナルの方がおられます。そんな彼のところには、頻繁にその業界についての問い合わせや話を聞きたいという連絡があるそうです。相手は転職活動中の人やその業界でビジネスをしようとする人、取材をしようとする記者の人まで様々です。

しかし、最近は相談の申し入れをお断りされているとのこと。なぜかと聞くと、何の準備もせずに楽をして答えを得ようとする姿勢の人が非常に多いためだそうです。例をあげると「〇〇業界について教えて下さい」という、いきなりゼロから教えて下さい、という相談が多いとのこと。その方からすれば「そんなことは書籍などに書かれているのだから、せめて関連書籍は読んだ上で質問しなよ」という気持ちになると仰っていました。

その道のプロに話を聞くときに、何も調べず基本的なことも知らないまま「ゼロから教えて下さい」と楽をして学ぼうとすることは、失礼ですよね。

例えば、野球担当になった記者の人がイチローに「野球のルールについて教えて下さい」という理由でアポを取ろうとしますでしょうか? そして、イチローが「野球とはね、ピッチャーというボールを投げる役割の人が投げたボールをバットという棒で打ったら、ホームベース右前方にある一塁という場所に向かって走っていくのだよ…」と教えるでしょうか?

ないですよね。そんなこと。

少なくとも細かなところまでルールを理解し、現在のプロ野球にどんなチームがあってどんな選手がいるのか概要を調べた上で、実際に試合を観たりして準備をするでしょう。その上で、どうしても分からないこと知りたいことを、野球の専門家に聞きに行きますよね。それが最低限の作法です。

ですから、人に教えてもらいたい時は出来る限り自分で調べて理解した上で、何を聞きたいのか、話を聞く目的を明確にしてから相談をしましょう。その方の著書があれば、当然それを読んでからお話を聞きにいくべきです。

ちなみに、これはプロに相談する時の作法であるだけでなく、仕事で上司や先輩に教えを請う時や、面接の質疑応答で質問をする時などのコツでもあります。当たり前のようなことですが、意外に出来ていない人が多いのも事実です。気をつけましょう。

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取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。